黒いカタツムリ

際限なく広がる興味を形に残す試み.

変わり種を読む(赤い楯)

近況

 久々です.こうなったのは単純に興味のわいてくるようなことがなかったからです.学生の休みなんてそんなもんです.全く何もしていなかったかというとそういうことではないのですが,ここで取り上げることでもなかったということです.

本題

 さて,今回は『赤い楯』(広瀬隆)を読んで興味を持ったのでブログ書きます.僕が読んだのは文庫本のタイプで4冊で完結するものです.まだ1冊目しが読んでないのですが全部読んでから書いてもネタバレになるだけなのでこの段階で.

 内容は世界最大の財閥といわれたロスチャイルド家に関するものでした. 1冊目では現在にみられるロスチャイルドの流れをくむ会社や,人物.そして,18世紀ドイツで金貸しとして始まったロスチャイルドがどのようにして大きくなったかが書かれています.そこには皆の知る有名な人物や会社が多く現れ,家系図の中には大統領の名前までありました.日本の藤原氏の比ではありません.

 よくユダヤ系の金融屋が世界で力を持っているという話を聞いたりもしますが,もっと正確にはそれはロスチャイルドでは中ということが本に書いてありました.有色人種であるはずのユダヤ人の血筋が狡猾に白人社会に入り込んでゆく様は少し恐怖さえ覚えるものでした.都市伝説のようにも思えてしまうような内容も家系図という動かぬ証拠に裏付けられとても信ぴょう性の高いものになっていました.それ以上に,家系図をつなげてゆく取材をした作者の広瀬氏の執念に驚くばかりです.初版は91年とすでに30年近く前のものですが,今読んでも全く問題ない内容です.

 本を読み,そこに現れた企業のつながりを復習したうえでこの頃のニュースを見るとまたいつもとは違う視点が生まれてきます.残りの3冊もゆっくりかみしめて読みたいものです.

名作を読む(神統記)

近況

 家族が花粉症であえぐ中,僕は無事なようです.どうも体のつくりが雑なようで花粉のような微細なものには反応しないのでしょう.どうも静電気というのは花粉を引き寄せることがあるんだそうです.理系の立場からすると"+"と"-"のどちらに帯電すれば花粉が寄って来,,,と考えてしまいます.そんな野暮なことはしないことにして,冬場の静電気対策グッズにまだ役に立つ場面があることを素直に喜ぶことにします.

本題

 春休みで時間を持て余すとやはり本を手に取ってしまいます.僕自身,それほど読書家というわけではないので基本的に読む本は有名なものが多いです.今日の興味は「神統記」です.高校の世界史の教科書にもヘシオドスの作品として紹介されていてある意味有名ですね. もちろん原文というわけではなく,岩波文庫から出版されている廣川洋一訳のものを読みました.

 端的に説明するとヘシオドスがギリシャ神話に登場する神のその系譜を詩歌女神から聞いたから書き示すよ,という内容です.ギリシャ神話といえばゼウスやクロノスが出てくるあれです.話の最初は世界のいでたちを簡単に説明するのもので4人(人?)の原始紳が現れ,そこから様々な神が生まれていきます.本の中ではその系譜や神々のご利益(?)などが説明されています.

 「神統記」興味がわいたのは,登場する神様がとても人間味ある存在のように感じられるところです.神の生まれ方もそのほとんどが人と同じ方法をとっています(もちろんそうではない神様も多く,アフロディテ(美の女神)はウラノス(天空神)の切り落とされた男性器にまとわる泡から生まれた話は聞いた人もいるかもしれません.).また,神だからといって善い存在ということもなく,卑怯な神様も少なくなかったです.このようなところは,カタカタが多く名前ばかりで退屈しそうな本の内容をより面白くしているように思いました.

 本編自体は100ページ余りとそれほど多くはないのですが,訳注や解説,神の系譜図があったりと内容は盛りだくさんでした.読んでいて楽しいものだったので,少しギリシャ神話の方面を攻めようかなと思いました.そういうわけで次の興味は「イリアス」や「オデュッセイア」に移っていくことでしょう.

初投稿

挨拶

 初めての投稿です.まずはこのブログの方針だけ書いておこうと思います.方針といっても単に何を書くのかという話ですが,単純に自分の興味のあることや身の回りに起こったことを書くだけです.ブログを始める理由というのも簡単で,方々に飛んで行く自分の興味をどこかに残しておこうというものです.

 ジャンルにはとりとめがないのですが,誰かの目に留まれば幸いです.

今日の興味

 最初の投稿なので学生らしく,大学の講義で興味を持った内容についてとりあえず1つ書こうと思います.

 その内容は「保守」とは何なのかを扱うものでした.いきなり政治的な話ですね.結論から言うといまニュースで見るような保守というのはもともとの概念からは離れているようです.

 さかのぼると「保守」という概念はフランス革命期にさかのぼるそうです.フランス革命における急進的な改革への批判としてイギリスで生まれたのだそう.ここまでだと,今の保守と同じような感じです.しかし,面白いのは「保守」が立ち上がったとき,何らかの理想や理念を持つことを嫌ったというところです.ちょっとわかりにくい話ですが,ここで「保守」がフランス革命の批判で現れたことから考えると何となく理解できます.革命では大きな理想・理念を合理的かつ急進的に推し進めたものでした.旧体制を叩き壊したところからも理解できます.それまでの仕組みを一度なかったことにし,理想的な仕組みというものを作り上げる.まあ革命といっているのですからそんなもんでしょう.これを「保守」は批判したのです.その立場は"既存の仕組みを生かし,その悪い点を改善する"というものでした.現状を見つめ改善を繰り返す試みに理想や理念というものがないのも当然です.経験的・実践的な見方で「今」を見つめる姿勢はもはや思想というより生き方の態度ともいえるかもしれませんね.

 理想・理念を前提に既存の仕組みを見直さない立場の考え方は「合理主義」というそうです.ここでは「保守」と対をなすものと考えていいと思います.実際,「保守」が「合理主義」批判する動ぎはありました.M.オークショットの合理主義批判は有名かもしれません.その中で彼はあらゆる理想の追求を批判しています.これまた面白いですね.そのほかにも彼は"完全に自由な市場は自然発生したことがない.ゆえに完全に自由な市場があればそれは完全に計画された市場であることと同じだ."という趣旨の主張もしています.なかなか深い感じがします.

 話がウロウロした印象ですがそろそろ結論に立ち返りたいと思います.現在の保守についてです.端的に言って今の「保守」は現状の仕組みの維持・強化"が目的・理想となっているのではないでしょうか.これは「保守」が"保守すること"という自己目的化をした結果なんだそうです.「保守」が理想を持つということは,言い換えると「保守」の合理化といえます.講義でここまで話が進むと,あまりの皮肉な結果に先人の努力が報われていないという悲しさを感じました.

 正直に言って既存の仕組みをまじめに見直して現状にあった手直しをしてゆくという,最初の「保守」の手続きはあまりに面倒です.簡単に理想を掲げ,それを推し進めたほうがよっぽど合理的です.しかし,既存の制度に敬意を払う立場のもと「保守」的な試みを進めることのほうが価値あることに感じます.これは研究の進め方に近いような気がして受け入れやすいだけかもしれませんけど.

 興味を持って話が進んだのはここまで.次はもう少し軽い話題に興味がわくといいです.