黒いカタツムリ

際限なく広がる興味を形に残す試み.

名作を読む(神統記)

近況

 家族が花粉症であえぐ中,僕は無事なようです.どうも体のつくりが雑なようで花粉のような微細なものには反応しないのでしょう.どうも静電気というのは花粉を引き寄せることがあるんだそうです.理系の立場からすると"+"と"-"のどちらに帯電すれば花粉が寄って来,,,と考えてしまいます.そんな野暮なことはしないことにして,冬場の静電気対策グッズにまだ役に立つ場面があることを素直に喜ぶことにします.

本題

 春休みで時間を持て余すとやはり本を手に取ってしまいます.僕自身,それほど読書家というわけではないので基本的に読む本は有名なものが多いです.今日の興味は「神統記」です.高校の世界史の教科書にもヘシオドスの作品として紹介されていてある意味有名ですね. もちろん原文というわけではなく,岩波文庫から出版されている廣川洋一訳のものを読みました.

 端的に説明するとヘシオドスがギリシャ神話に登場する神のその系譜を詩歌女神から聞いたから書き示すよ,という内容です.ギリシャ神話といえばゼウスやクロノスが出てくるあれです.話の最初は世界のいでたちを簡単に説明するのもので4人(人?)の原始紳が現れ,そこから様々な神が生まれていきます.本の中ではその系譜や神々のご利益(?)などが説明されています.

 「神統記」興味がわいたのは,登場する神様がとても人間味ある存在のように感じられるところです.神の生まれ方もそのほとんどが人と同じ方法をとっています(もちろんそうではない神様も多く,アフロディテ(美の女神)はウラノス(天空神)の切り落とされた男性器にまとわる泡から生まれた話は聞いた人もいるかもしれません.).また,神だからといって善い存在ということもなく,卑怯な神様も少なくなかったです.このようなところは,カタカタが多く名前ばかりで退屈しそうな本の内容をより面白くしているように思いました.

 本編自体は100ページ余りとそれほど多くはないのですが,訳注や解説,神の系譜図があったりと内容は盛りだくさんでした.読んでいて楽しいものだったので,少しギリシャ神話の方面を攻めようかなと思いました.そういうわけで次の興味は「イリアス」や「オデュッセイア」に移っていくことでしょう.